今回の倶楽部紹介は、シャーロット・マクラウド魅力について存分に語り、その魅力をあまねく皆さんに知っていただこうではないかと言う「マクラウド普及協会」です。
今日は仕事が早々に片付いたので、家で待つ相方と子供の笑顔、温かな夕食を脳裏に浮かべながら、家路を急ぐ・・・しかし30分後、いつものように会社近くの大型書店の中で佇む自分がいた。限られた財政の中で何を買うかを長考すること数時間(!)、電車に乗り込んだときにはウッドハウス『比類なきジーヴス』と有栖川有栖『モロッコ水晶の謎』が鞄の中に収まっていた。家に着けば、暗い部屋、爆睡の子供、無口な相方。そして自分に残されたのは寂しい財布と冷えたご飯、そして2冊の本。。。明日こそは、まっすぐに家に帰ろう、と誓うのだった。
皆さんはコージーミステリという言葉を耳にしたことがありますか?コージーとは「居心地の良い」「暖かい雰囲気の」などを意味する言葉で、「お茶とケーキ」(tea&cake)を楽しみながら、という意味が込められています。犯罪を扱う以上、ともすれば重く、深刻になりがちなのがミステリです。しかしコージーミステリでは謎解きやサスペンスだけではなく、風変わりで魅力的なキャラクターたちが縦横無尽に活躍(引っ掻き回す?)する様をユニークに描き、明るい彩どりを添えているのが魅力に加わるのです。
そのコージーミステリの女王と言えば、シャーロット・マクラウド。コージーミステリは彼女の存在なしでは語れません。そんなマクラウドの魅力について語り、普及していこうというのがこの「マクラウド普及協会」。倶楽部代表はしろくまさんです。マクラウドはアリサ・クレイグの名義でも作品を出しており、マクラウド名義では農業大学でカブの新種開発を研究する「シャンディ教授」と旧家の若奥様「セーラ・ケリング」を、クレイグ名義では架空の町の園芸クラブを中心としたシリーズと騎馬警官マドック・リースものを書いています。どの作品もユニークなキャラクターとシチュエーションがもたらすなんともいえない可笑しみが満載。それでいて本格としての醍醐味もあり、犯人に対する容赦ない視点も鋭い。また、元気な中高年が活躍したり、環境問題に言及したりする点などは、時代を先取りしていた作家ともいえるのではないでしょうか。しかし先だって、マクラウドは惜しまれながら世を去り、残念ながらもう新作が読めないのですが、多くの作品が訳されているので、その魅力には存分に堪能することができます。ここで、倶楽部代表のしろくまさんに、お奨め3作品を選んでいただきました。
- 『お楽しみが一杯!』(創元推理文庫)
- マクラウドという作家の魅力を知るには、短編集が1番!シリーズキャラクターのシャンディ教授やセーラの物語だけでなく、お得意のコージーミステリから、オカルト、サスペンスまであり、盛りだくさん。マクラウドのさまざまな魅力に触れられます。
短編集でマクラウドの魅力に目覚めたら、シリーズものを1作目から読んでいくのが良いでしょう。
- 『にぎやかな眠り』(創元推理文庫)
- シャンディ教授第一作。地味で静かなものを愛するシャンディ教授は近所のジェマイマ・エイムズたちにより毎年繰り返される、クリスマスイルミネーションへの協力依頼に嫌気が差し、今年はド派手なイルミネーションと大音響のクリスマスソングをセットし、自分は船旅に出かけたのだ。しかし船旅から帰ってきたシャンディが発見したのは、ジェマイマの死体!かくしてシャンディは、風変わりで、癖のある町の住人に振り回され、右往左往しながら事件の解決を目指すことになるのだった。
- 『納骨堂の奥に』(創元推理文庫)
- セーラ・ケリング第一作。ケリング一族の長老フレデリック大叔父さんの遺志により、一族の納骨堂に棺桶を埋葬することになった。長い間使用されていなかった納骨堂の確認するために扉を開けると、目の前にはレンガが積まれ、中に入れないようになっていた。そのレンガを取り除くと中には30年前に行方不明になったストリッパー、ルビー・レッドの死体が横たわっていた!ゴシック・ロマンの要素も加わった作品。
どうです、沸々と興味がわいてきませんか。マクラウドの描き出す、魅力的な人物たちが織りなす素敵なミステリを一緒に楽しみましょう!





