週刊FSUIRI

« 4/11-4/17に紹介された本 | メイン | 4/18-4/24に紹介された本 »

【倶楽部紹介】俗世の綻びに「癒し」を施す修道士 ~カドフェル修道会~

今宵紹介する倶楽部は、中世イングランドを舞台にその独特の観察眼で事件を解決していく修道士カドフェルを信仰する「カドフェル修道会」です。TVドラマ化もされるほどの人気者であるカドフェルの探偵術のキーワードは「癒し」。どうです、カドフェルが事件の際に施す「癒し」とは何か?興味が沸いてきませんか?

「今日はあの本を買おう。他の本には目もくれないようにしないければ。今月財政ピンチだし。。。」と心の中で何度も唱えながら本屋に向かう自分。深呼吸して本屋の前に立ち、再度繰り返す。「他の本には。。。」ゆっくりと開く自動ドア。目に飛び込む本、また本。吹っ飛ぶ理性、血走る目、そして途切れる意識。。。気がつけば両手にあまるほどの本を抱えた自分がレジの列に並ぶ。当初買おうと思っていた本もそこにはない。そしてそんな本たちは積読山の標高更新の一端を担うことになることは言うまでもない。嗚呼。

舞台は12世紀の中世イングランド、シュルーズベリ。彼はその地のシュルーズベリ修道院で、薬草園の世話と施薬係の修道士として修道生活をしている初老の人物。若い頃に十字軍の兵士として20年余りを戦乱の真っ只中に身を投じ地中海各地を転戦、波乱万丈の生活を送った経験を持っている。そんな彼は友人で執政官であるヒュー・ベリンガーに協力を依頼されて犯罪捜査に乗り出すが、カドフェルはその十字軍の遠征で得た豊富な人生経験とイスラムの卓越した知識、修道生活で得た達観で、その当時の人々には見えないものを探り出し、事件を解決へと導いていく。正義感だけを振り回して犯人を突き止め裁くのではなく、神に仕える身として人々の心に平穏が訪れることに最大限の力を注ぐ。彼の解決方法は彼独自の宗教観に裏打ちされた「癒し」なのです。現実の生活の中で時に生じる綻びが犯罪ならば、人の身体に生じる傷や病を癒すように、癒していく、それがカドフェルの方法なのです。

今はなきエリス・ピーターズが創出したこのシリーズの魅力はキャラクター造詣の素晴らしさもさることながら、中世イングランドの雰囲気を感じさせる筆力が見事。修道院の薬草園を吹き渡ってくる芳ばしい風の匂い、深夜の礼拝所の暗さと石畳の冷たさなどが、ひしひしと感じられてくるのです。また、歴史的背景も史実に基づき描かれ、第一巻から年代を経た形で物語が進み、それがまた物語に深みを増す要因となっているのです。

そんなカドフェルの代表作は何か。まず最初の3作品を読んでいただければ、その魅力がわかりますよ、と語る倶楽部代表のしろくまさん。以下にその作品を簡単に紹介をいたしましょう。

『聖女の遺骨求む』
ウェールズ地方グウィセリン、そこに眠る聖ウィニフレッドの遺骨をめぐる村と修道院一行との駆け引きの最中、当事者の一人である村の地主リシャートの殺人事件が起こるのです。 カドフェルの犯人探しを軸に、見習修道士のジョンとグウィセリンの村人との交流、聖ウィニフレッドの奇跡とが交差して、まさにシリーズ第一作としての面白さが横溢した作品です。
『死体が多すぎる』
時は1138年、折りしも王位継承権をめぐる戦いの中で、捕虜となった94人が処刑されるという事態が起こります。ところが、死体の数は95。木の葉を隠すなら森に、の例えどおり、死体の山に隠されたひとりの若者の死を悼み、カドフェルの捜査が始まるのです。
シリーズ第2作目の本作は、歴史とも密接なつながりを持ち、主要な登場人物が顔を揃える、というシリーズを読むのに欠かせない作品でもあります。そして、修道院という世界の中からシュルーズベリという町とそこに住み、滞在し、そして占拠している人々の内面を、しっかりとそして愛情を込めて見つめているカドフェルの暖かい眼差し。きっと読んでいる自分の心も暖められていることを感じていただける作品だと思います。
『修道士の頭巾』
内乱の波も辺境に遠のき、ようやく落ち着きを取り戻し始めたシュルーズベリに客人のひとりが毒殺されるという事件が起こります。疑われたのはかつてカドフェルが愛したリチルディスの息子。カドフェルは真相究明に乗り出します。
カドフェルの過去を垣間見ることのできる本作、子供同士の強い絆や母の思い、など、家族というものに焦点があてられています。そして家族であるがゆえに悲劇を引き起こすこともあるのだと教えられる作品です。

この3作目、最後に、シリーズを読み続けてきた皆さんへのとっておきのプレゼントともいうべきエピソードがはさまれています。ぜひ1作目から順にお読みくださいますように。
そして3作目まで読んだあなた、もうシリーズ全作を読まずにいられませんよ。

  • FSUIRI立ち話ラウンジ
  • ミステリ・ミーハーの部屋
  • ミステリファン倶楽部
  • わたしの読んだミステリ
  • チャットルーム雑談用
  • チャットルーム企画用

About

2005年04月19日 00:04に投稿されたエントリーのページです。

ひとつ前の投稿は「4/11-4/17に紹介された本」です。

次の投稿は「4/18-4/24に紹介された本」です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。