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【倶楽部紹介】飽くなきミステリ・スピリッツ~カー倶楽部~

云わずと知れたミステリ界の御大、カーの登場です。一部のファンに絶大な人気を誇るカーですが、最近までは絶版作品が多く、評価の割には冷遇されていたような気がします。しかし昨今のリバイバルブームの中、復刊や新訳、新刊などが次々に出版されるというファンには嬉しい時代の到来!そして新たにカーの魅力に取り憑かれたミステリファンは増加の一途を辿り、その勢いはとどまることを知らず。カー倶楽部はそんなあなたを諸手をあげて歓迎する「カー命」の倶楽部なのです。

しみじみと手にする一冊の本。ああ、これが読みたくて散々古本屋を駆けめぐった日々が思い出される。ようやく見つけても、法外な値に手が出ず、歯がみしてあきらめる。再び目的の本を求めて古本屋を彷徨し、渉猟する。同じ事の繰り返し。。。しかし今や彼の作品は巷に溢れている。そしてついに私が熱望して止まなかった、あの作品が文庫で復刊したのだ!万感の思いを胸に、そっと本を手に取る。涙で目が霞む。ついにあの『○○○○』が読めるのだ!よき時代になったものだ。(でも、この期を逃さすと、またすぐ冬の時代になるんだよなあ。)
注:『○○○○』『××××』には自分の思いに会う作品名を入れてください(笑)

ジョン・ディクスン・カーまたはカーター・ディクスンは、二つの筆名を使い分け、数多くの本格推理を残したミステリ界の巨匠。江戸川乱歩は「カー問答」の中で彼の作風を「不可能犯罪」「怪奇趣味」「ユーモア」と評しております。その中でもカーが最もこだわったのは「不可能興味」。確かにおどろおどろしい舞台や繰り広げられるドタバタ劇、若い二人に訪れるロマンスなどが作品中随所に現れ、作品に彩りを加えています。しかしそれは飽くまでトリックを活かすための脇役なのです。カーにとってそれらの設定全てがトリックに奉仕しているのです。(ああ、ここまで断言してしまって良いのだろうか・・・)

そしてカーの非凡さは、トリックに奉仕するための設定一つ一つがまた魅力的。そんな魅力たっぷりのエピソードを作品の中にこれでもかというほど、惜しげもなく盛り込んでいくのです。なんというサービス精神!そんなおもちゃ箱をひっくり返したような作品世界に読者は引きずり込まれてしまうのです。そうなると、もう読者はカーの思うつぼ。カーの構築した壮大な目眩ましに読者は眩惑され、まんまと騙されるという事になるのです。読後、「ああ、あの話はこの伏線だったのか」「あのエピソードはこう繋がるのか」と膝を打つこと請け合いです。

カーがとことんトリックにこだわったのは、騙されるということが自分の作品の愛読者にとって、最大のサービスだと考えたからで、読者が喜ぶためにあの手この手でトリックを産み出してきたのです。過剰とも言えるほどエピソードを盛り込み、読者を煙に巻いたカー。ときに詰め込みすぎだと云われますが、カーの愛すべきサービス精神の現れなのです。

さて、そんなカーの膨大な作品群の中ならオススメの3作品を以下に紹介します。まずはここからカーの奥深ーい世界へと入ってみてはいかが?

『連続殺人事件』(創元推理文庫)
シャイラ城で当主のアンガス・キャンベル老が、塔の頂上にある部屋から転落死する事件が起きる。部屋は地上から500フィートの高さで内側から閂も掛けられた状況。当初は自殺と見られていたこの事件も、老人が部屋に入る直前に口論していたことが判明。さらに、部屋に入る前にはなかった動物を運ぶようなスーツケースが発見されるに至り、俄然殺人の可能性が浮上してくる。さらにフェル博士に事件解明を依頼したアンガスの弟コーリンも全く似たような状況の中当から転落死を遂げ、さらに事件が。。。これらの事件は自殺なのか他殺なのか?独創的な密室トリックに、コメディ溢れる数々の挿話が魅力的なカーの代表作!
『ユダの窓』(早川ミステリ文庫)
ジェイムズ・アンズウェルはメアリとの結婚を承諾してもらうために、メアリの父親であるエイヴォリー・ヒュームの元を訪れる。部屋に訪れ会話をするうちに意識を失うジェイムズ。出されたソーダ水に何かが混入されていたのだ!目覚めると部屋に飾られた矢で胸を貫かれたエイヴォリーの死体が!部屋は窓のシャッターが完全に下り、唯一のドアも内側からボルトで固定されているという完全な密室。そんななかジェイムズの無実を信じるヘンリ・メリヴェール卿が立ち上がった!密室の謎を解くカギである「ユダの窓」とは何か?ほぼ全編を通じて繰り広げられる法廷での熱い攻防戦を通じ、いかにして密室が構成され、その謎が破られるのか、を克明に描ききったカー屈指の傑作!
『パリから来た紳士』
カーの中・短編を網羅したアンソロジーが東京創元文庫で全6巻が発売されております。どれも甲乙つけがたい魅力に溢れておりますが、特に読んで頂きたいのは3巻『パリから来た紳士』。「妖魔の森の家」と並び最高作の呼び声高い表題作の他、カーの創造した探偵、メリヴェール卿、フェル博士、マーチ大佐の3人が一堂に会したうえ、その内容も不可能犯罪、ユーモア、歴史、怪奇趣味など多彩を極めており、カーの魅力を余すところなく伝えています。倶楽部代表みかちんさんオススメの「奇蹟を解く男」も収められたこの作品集、カーの世界の入門編としてまずは一読してみては?
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2006年04月12日 23:21に投稿されたエントリーのページです。

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